荒井由実(ユーミン)の歌詞が人気な理由は「表現力・聴き手に想像させる・物事の核心」が特徴。

 

特に「中央フリーウェイ」は聴いているだけ女性の気持ちが伝わるものですし、「やさしさに包まれたなら」は名曲だと思います。

中央フリーウェイ 荒井由実(高音質ver)

 

 

荒井由実(ユーミン)の歌詞が人気の理由は、「恋が叶わない女性の気持ちを歌った」こともあります。
しかし、それだけではなく歌詞にも特徴があり、それが歌を面白くしているのではないかと思います。

 

 

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ユーミンならではの子供のような想像力があり、的確な表現をしている歌詞

ユーミンの歌詞は他の歌手とは少し違う特徴があります。
それはまるで子供がふと漏らす言葉のような想像力がある歌詞です。

 

ざっと挙げてみると、

  • 六月は青く滲んで(雨のステーション)
  • 夜明けの空は葡萄色 街の灯りを1つ1つ消していく 魔法使いよ(雨の街)
  • 街並がやがてまたたきだす 2人して流星になったみたい(中央フリーウェイ)
  • あの子の命は飛行機雲(ひこうき雲)
  • 海の碧さをもう一度伝えるために 今瞳をとじて(瞳をとじて)
  • 船が夜をすべり(航海日誌)
  • ソーダ水の中を貨物船が通る(海を見ていた午後)
  • さやが私の心なら豆はわかれたおとこたち(チャイニーズスープ)

 

この歌詞は私達がパッと何かを見た時には同じように表現しにくいものである一方、それを歌詞として聴くと「スゥー」と自然に情景や意味が浮かんできて理解できるものです。

 

この表現した歌詞も、まるで私達が子供の頃に素直に感じたようなものであり、その表現は的確であり、さらに想像力が豊かなものです。
大人になると、こういった表現力は無くなっていき言葉にできないものです。

 

特に私は「夜明けの空は葡萄色 街の灯り1つ1つを消していく 魔法つかいよ(雨の街)」は良い表現だと思います。
街が明るくなる夜明けには街灯が消えていきますが、その消える様子を「魔法使い」が消していくと表現する大人はまず居ないと思います。

 

また別の歌詞の「船が夜をすべり(航海日誌)」でも同じで、本来船が夜をすべることはありません。
しかし、「海を夜」と見ると波が穏やかな大海原であることが想像できますし、「すべり」から揺れやすい小型船ではなく大型船がゆったりと港へ向かっている最中だと想像できます。

 

ユーミンの歌詞が素晴らしいのは、こういった私たち大人が表現できないことを当然のように表現していることであり、それを聴いた私たちも自然とその情景が目に浮かぶことだと言えます。

 

そして、特に70年代頃にリリースされた曲の歌詞は今でも色褪せないものが多いです。

 

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ユーミンの歌詞はアートと言える:聞き手に想像をさせる

ユーミンの曲は芸術(アート)に近い物があると思います。
最近は歌手はみんな「アーティスト」と呼ばれますが、ユーミンの70年代の曲はまさにアーティストと言って良いはずです。

 

芸術とは何かと言えば、様々な解釈があるでしょうが、その1つに「その芸術を見たり聞いたりする相手に何かを想像させること」が有ると思います。

 

例えば、美術館で絵画を見た時に「この絵画は何故描いたのだろう?」「どうやってこの絵を描いたのだろう?」と思わせるものです。
ただ美しさを競うのではなく、私たちにこのような知的好奇心を抱かせるモノが芸術であると言えます。

 

ユーミンの曲も同じように、聴いている側に「これはどういったことを言っているのだろう?」と抱かせる歌詞が多くあります

 

例えば、『やさしさに包まれたなら』には「心の奥にしまい忘れた 大切な箱開くときは今」とあります。
そこで「その箱はなぜ大切なのか?」「その箱には何が入っているのか?」「しまい忘れたってどういうこと?」と思うはずです。

 

このように聴き手が想像や思考を巡らせる楽しみをユーミンの曲は与えています。

 

私は最近の歌ではこういった表現力が無くなってしまい、それが歌や歌詞の楽しみを消してしまい、音楽がエンターテイメントに変わってしまった側面があると思います。
歌詞を聴いた人達にその情景や歌の意味を考えさせるのではなく、ただ作文のように流れるだけになっています。

 

一方、ユーミンの曲の歌詞には、人に考えさせるものが多く残っています。
これが聴き手に曲を聴く楽しみを与えており、まさにアートだと言えます。

 

 

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人の核心に触れる歌詞がある

松任谷由実 やさしさに包まれたなら

『やさしさに包まれたなら』は、今でも色褪せない曲の1つです。
多くの曲は時間が経つと「懐かしい」という印象を抱きますが、この曲は50年程経過した今でもまるで最近の曲を聴いているかのような気分になります。

 

この曲が今でも色褪せない理由は、この曲が時代によって変わるものではなく、私たちがいつの時代でも持つ核心である本質に触れた曲だからだと思います。

 

 

この曲がジブリの魔女の宅急便で主題歌に選ばれた理由も何となく想像できます。
ジブリ映画はどの作品も主人公・ヒロインが真っ直ぐに懸命に生きる姿を映し出し、その姿に多くの人は魅了されるのではないかと思います。

 

ジブリ映画が長く愛される理由に、このように「人の本質」や「純粋性」を描き出したものであることが大きな理由だろうと予想します。
だからこそ、長年人気がありまた子供にも見せたい映画として残っているのだといえます。

 

この「やさしさに包まれたなら」の歌詞が人の本質を表現し、魔女の宅急便も主人公の真っ直ぐに生きる姿が純粋性=本質を意味しています。
これが魔女の宅急便にこの曲がピッタリと合うと感じる理由だといえます。

 

この場合は映画の内容と歌詞がシンクロするのではなく、両者の持つ意味においてシンクロしているため、表層だけの観察では気がつきにくいのではと思います。

 

 

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今の曲とユーミンの曲は「詩」が違う

今の現代ミュージックと昔の曲では「歌詞」が大きく違うように感じます。
特に現代は歌詞が「文」であり、昔の曲は歌詞が「詩」であったように思います。

 

「文」は私たちに意味を理解させるには最も簡潔な方法ですが、簡潔であるが故に深みがありません。
「詩」は意味を理解するには労力がかかりますが、それだけ教養や知識が求められます。

 

どちらが楽しみがあるかといえば「詩」です。
ユーミンの曲に面白みがあるのは歌詞が「文」ではなく「詩」だからです。

 

先ほどの和歌の部分で説明したように、ユーミンの曲は一歩奥へ聴き手を導くところがあります。
メロディーを聞き流すのではなく、聴いている人に1つ深い音楽へと連れて行ってくれるということです。

 

特に70年代の荒井由実の曲は神がかっていたと言えます。

 

関連:実際に松任谷(荒井)由実の中央フリーウェイを歌詞に合わせて走ってみる。